vol. 6  肩こり 腰痛

婦人科外来を訪れる方の問診表には、主訴以外に、肩こりや腰痛を記載されている方が多くみうけられます。肩こり・腰痛の原因は様々で、複数の問題点を抱えている方が大半といえます。精神的ストレスなど心因性の場合と、器質的に体に原因がある場合に大別できます。

ここでは器質的原因について考えてみましょう。肩こりの原因としてまずチェックしていただきたいのは、1)歯並びや噛み合わせに問題がないかという点で す。外から見た歯並びはきれいでも、前後にずれていたり、かみ合わせに問題があって一部の歯に過度の圧力が加わっていたりすると、顎関節が疲労しやすく、 肩こりや頭痛の原因になります。長年、歯科を受診していない方は、スケーリング(歯垢のクリーニング)を兼ねて一度矯正歯科を受診してみてはいかがでしょ うか。

次に、2)背骨の湾曲がないかという点です。婦人科手術の術前検査で胸部・腹部のレントゲンをとりますが、経験的な印象では、背骨の湾曲が見つかる女性 は過半数を超えます。背骨は一箇所が曲がれば、体位のバランスを保つためにS字に湾曲します。この湾曲が肩こり・腰痛や椎間板ヘルニアの原因となります。 姿勢が悪いと感じる方は、一度整形外科を受診してみましょう。日常の運動不足が背骨を支える筋肉の筋力低下をおこします。適度な運動が効果的ですが、運動 法は専門のインストラクターに相談してみましょう。

3)また婦人科的な問題点として、子宮や卵巣の器質的疾患の有無があります。例えば、子宮筋腫や子宮内膜症が腰痛の原因となります。冷え性や生理痛を伴う腰痛があれば、一度婦人科を受診して下さい。肩こり・腰痛の治療はその原因を知ることから始まります。

漢方では、筋肉の硬縮緩和に効果のある芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を眠前に1包使用したり、風邪薬としておなじみの葛根湯(かっこんとう)を 1-2包、そのまま水で内服するか、温湯に溶かして飲むと以外に効果的な方がいます。また、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や桃核承気湯(とうかく じょうきとう)などの駆お血剤の血流改善作用が有効なケースもあります。そのほか、鍼灸やアロマセラピーなどの専門家に相談してみるのも一案です。

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