vol. 13 女性に必要な健診

【公費検診の見直し】
現在厚生労働省が主導し、公費を用いた婦人科領域の検診事業がすすめられています。検診内容は、子宮頸ガン、子宮体ガン、乳ガンの3種です。今年は検診 内容の見直しが行われ、若干の変更がありますが、来年にはさらに変更がありそうです。見直しの内容は、①子宮頸ガン検診の対象が30歳以上から、20歳以 上へ拡大。②子宮体ガン検診は廃止の方向。③乳ガン検診に、視触診に加えてマンモグラフィーの導入の3点ですが、来年度からは公費検診は2年に1回になる 検討もされており、財源不足も影響していることが推測されます。奈良市の場合、公費検診の受診率は約15%超で、これは全国平均と大差ありませんが、40 歳以上の方が受診対象の基本検診に比べるとかなり低い現状です。

【今後の検診のあり方】
では、婦人科領域において、どのような検診を、いくつから、どれくらの頻度で受診すればいいのでしょうか。

(1)子宮ガン
20代30代に限れば、女性ガンで最も多いガンは子宮ガンです。子宮ガンには、入り口付近に発生する頸ガンと子宮内腔に発生する体ガンがあります。消化 管における胃ガンや大腸ガンのように、頸ガンと体ガンは組織学的には全く別のガンです。頸ガンはHPV(人パピローマウイルス)の感染が関係しており、性 行動の若年化により20代の発病もみられるため、20歳から年1回の受診がいいでしょう。体ガンは、高脂肪食などの食生活の変化にともない、増加と若年化 がみられます。現在、頸ガンと体ガンの発病数はほぼ同数になっていること、ここ30年間で50歳以下の体ガンの発病者が約6倍になっていることなどを考慮 すれば、35歳以上の方は毎年1回の受診が望まれます。

(2)乳ガン
女性ガンで最も多い乳ガンは、現在日本人女性の30人に1人が発病し、さらに増加傾向にあります。20代の若年者の発病もみられますが、50歳以上の乳 ガンの増加は大きな問題です。原因はやはり食生活の欧米化が考えられます。25歳以上の方は毎年1回の受診が望まれます。また、40-50歳以上の方で は、マンモグラフィーが特に有用です。今年から、公費の視触診で異常の無い方に、マンモグラフィーの公費負担が2年に1回採用されそうです。また、毎月1 回の自己検診も習慣にして下さい。

(3)卵巣ガン検診
ここ30年で卵巣ガンは約3倍増加しています。25歳以上の方は毎年1回の受診を推奨します。検診には経膣超音波検査(エコー)を用い、最近多い子宮筋 腫や子宮内膜症も同時にチェックできます。血液検査で行う腫瘍マーカー検査は、卵巣ガンの早期発見にはあまり有用とはいえません。

(4)骨粗しょう症検診
寝たきりの大きな要因に、背骨の圧迫骨折や大腿骨の頸部骨折があります。骨量は更年期の前後から約10年間は急速に減少します。40-45歳から80歳位まで、毎年1回の骨塩定量を推奨します。

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