vol. 11 便秘

習慣性便秘を現代医療で大別すると、緊張性(痙攣性)便秘と弛緩性便秘に分かれます。緊張性は腹鳴や腹部膨満が強く、症状が顕著で訴えも多いのが特徴で す。一方、弛緩性は単に便秘のみで、症状が少ないケースでは比較的長期間排便習慣を忘れて普通に生活し、ふと便秘に気づく程度の場合もあり、女性に多くみ られます。

緊張性便秘は精神的不安や冷え・過労などに起因することも多く、精神的安定と腸管の緊張緩和が治療の第一歩となります。安眠や入浴によるリラックス、腹 部の保温、刺激物を避け胃腸にやさしい食事を心がけることで症状の改善がみられます。薬物療法としては、抗不安薬や鎮痙剤・抗コリン作動薬、総合消化酵素 剤のほか、軽い下剤を用いる場合もあります。
弛緩性便秘には運動療法や、緊張性便秘とは反対に刺激物や冷用物を用いた食事療法を行うと有効な場合もありますが、一般には最初からいわゆる下剤を使用するケースが多いようです。

漢方は便秘も得意分野といえます。前述した緊張性便秘は虚症(虚弱体質)に多く、弛緩性便秘の多くは実証(がっちりタイプ)に当てはまります。生薬とし ては、実証の便秘には大黄や芒硝などの植物性あるいは塩類の配合された方剤を用い、虚症の便秘にはそれらを含まない滋潤の剤といわれる地黄や人参(おたね にんじん)などを配合した方剤を用います。

いくつか方剤例を示します。実証の便秘には、三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)、調胃承気湯(ちょういじょうきとう)、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたん ぴとう)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)などが処方されます。一方虚症の便秘には、八味地黄丸(はちみじおうがん)、加味逍遙散(かみしょうようさ ん)などを用いますが、麻子仁丸(ましにんがん)や潤腸湯(じゅんちょうとう)、大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)など大黄を含む方剤を虚症の便秘に使 用する場合も少なくありません。

その他には、フェンネルやローズマリーなどの精油を植物性オイル(基材)に溶いて腹部のアロママッサージをおこなったり、センナやジンジャーなどのハーブが有効な場合もあります。これらの代替療法やハーブ療法の施術は専門家のアドバイスを参考にして下さい。

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