Vol.167 2021.11.01 貧血治療の問題点

高齢者と若年者の貧血の違い
貧血は、検査センターによって基準値が異なりますが、概ねHb(ヘモグロビン)の数値が12(g/dl)以下で貧血と診断されます。
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ただ、年齢によってHbの正常値は異なります。例えば、Hbが11(g/dl)の方を考えてみます。
高齢者の場合、赤血球を作る骨髄の老化によって赤血球の生産力がおちるため、11(g/dl)は正常です。しかし若年者では貧血で、女性の場合大半は過多月経による鉄欠乏、つまり材料不足です。疲れやすい・朝がつらい・頭痛・めまい・肌荒れ・爪が割れやすいなどの症状がでます。同じ血液データでも、治療が必要な方と不要な方がいます。高齢者を見慣れた多くの医師が、若年者の鉄欠乏性貧血を見過ごしがちです。

貧血治療の注意点
貧血の原因が過多月経の場合、治療によって一時的に貧血が改善しても、継続的に治療しないと直ぐに元の状態に戻ってしまいます。「鉄剤は摂り過ぎるとよくない」という医師がいますが、過多月経が原因の場合、この指導は間違いです。

鉄には、ヘム鉄(レバーなどの鉄)と非ヘム鉄(ホウレンソウなどの鉄)があります。病院で処方される鉄剤は、非ヘム鉄です。非ヘム鉄は、吸収される際に酸化反応が起こるために、胃の不快感や便秘・下痢などの胃腸症状を生じる方がいます。この予防として、鉄剤とビタミンCを同時に処方します。

また、ヘム鉄のサプリメントでは胃腸症状はおこりませんが、大半サプリメントの鉄量は鉄剤(50~100mg)の5~10分の1に設定されています。

胃腸症状をさけるため、注射の鉄剤を使用する場合があります。
ただし、注射での鉄剤は緊急時にとどめるべきです。食事から摂った鉄は、小腸で吸収され、小腸上皮内に貯蔵鉄(フェリチン)として蓄えられます。そして鉄輸送タンパク(トランスフェリン)と結合して血液中に運ばれ、各組織で使用されます。注射で入れた鉄はトランスフェリンと結合していないため、肝臓などにヘモジデリンとして沈着し、多量になると肝障害を起こす場合があります。

 

 

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