vol. 21 クラミジアと淋病

【STD 性行為感染症 の増加】
性行動の若年化に伴い、10代20代のSTD(性行為感染症)の増加が目立ちます。特に、クラミジアや淋病の増加は社会問題といえるかもしれません。感 染経路は、セックスによる性器感染ですが、オーラルセックスによって(喉から)感染するケースもあります。黄色っぽい帯下の増加や不快感を主訴に来院する 方が多いようですが、症状が軽い場合には気づかずに偶然検診などで見つかる方もいます。放置すれば、膣炎から子宮内膜炎や卵管炎と進行し、下腹部痛や発熱 など強い炎症を引き起こします。また卵管の癒着や閉塞を起こして不妊症の原因となる場合もあります。

【診断と治療】
確定診断は帯下を検査します。検査方法もいくつかありますが、クラミジアの場合PCR法という遺伝子学的な診断方法がすぐれています。これは、帯下に含 まれるクラミジアの遺伝子を増幅して検出する方法です。また、淋菌の場合もPCR法がすぐれていますが、細菌培養法を行う施設が多いのが現状で、培養法で は擬陰性(感染していても、検査上は検出できずに陰性と判定される)となるケースが多いのが実態です。

【検査と治療の問題点】

治療法は、ある種の抗生物質を服用します。クラミジアと淋菌両方に有効な抗生物質はありますが、最近は耐性菌(抗生物質が無効な菌)も増加傾向にあり、抗生物質の服用後になおったことを確認する必要があります。

大切なことは、パートナーの治療です。貴女がクラミジアや淋病に感染し、コンドームなしでセックスしたパートナーは100%感染していると考えるべきで す。ここでも問題になるのは検査法で、パートナーが泌尿器科を受診し、検査をしたら陰性のケースが結構多いのです。これは、菌の採取方法と検査方法に問題 がある擬陰性と考えるべきでしょう。「俺は検査で陰性だったから治療の必要はない」ということになり、貴女は治療後に再び感染し婦人科を受診します。男性 はこれらの感染症で後遺症を残すことはまずありませんが、女性は不妊症になるケースがあることをお忘れなく。

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