vol. 16 生理痛

生理痛は、軽い下腹部痛や腰背部痛を訴える程度から、激しい疼痛のために2-3日寝込む方まで様々な症状があります。子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科 疾患が見つかる方もいますが、子宮や卵巣には全く異常を認めない方もいます。実際、生理痛で悩んでいる女性は多いのですが、本人も周りも生理痛を病気とは 考えない傾向があって、放置してますますひどくなったり、仕事や家事に支障をきたしても職場の人間や家族の理解が得られないために精神的にも苦痛を感じて いるのが現状です。生理痛を軽く考えていると、将来の不妊症につながる疾患が進行する場合もありますから一度婦人科を訪ねて下さい。

【生理痛の治療法】
子宮内膜症や子宮筋腫など原因がはっきりしている場合には、これらの疾患の治療を行います。現代医療の現場では、手術療法やGn-RH療法(約6ヶ月間 女性ホルモンの分泌を抑えて、一時的に更年期に誘導する治療法で、完全に治すことはできません。約1年間時間稼ぎをすると考えて下さい)、また低容量ピル を使用して疾患の進行を遅らせつつ生理痛を改善するホルモン療法などが行われます。
ただし、症状が軽い場合は急いで治療を行う必要のない方が大半です。このような方や原因不明の方には、生理痛を改善する対症療法として鎮痛剤を投与しま す。鎮痛剤を使うこつは、痛み始めのできるだけ早期に服用して下さい。「鎮痛剤はくせになるから」という理由で我慢する方がいますが、早期に服用すればよ り有効で、薬の使用量も少なくてすみます。

【漢方治療】
原因不明と言われた方でも、東洋医学的にアプローチすれば多くの方にお血(おけつ:骨盤内の血液循環が滞った状態)が見つかります。実際、駆お血剤(く おけつざい:おけつを改善する漢方薬)は多くの方に有効で、完全に生理痛がなくなる方も少なくありません。冷えや軽いめまいをともなう方には当帰芍薬散 (とうきしゃくやくさん)、多少のぼせる傾向がある方には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、のぼせに便秘がともなう方には桃核承気湯(とうかくじょう きとう)などが処方されます。また、鎮痙効果をもつ芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)の併用も効果的です。

その他、整体による骨盤矯正や、鍼灸、精油や植物オイルを用いた腹部のマッサージなどもお血の改善に有用です。

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