生駒山は、ブル、ミケのケーブルカーや山上遊園地などでファミリー向けのイメージがありますが、古くは日本書紀の神武東征のくだりにも記され、修験道の祖・役行者や弘法大師空海も修行をした山とも伝えられ、実は修行の地、霊山としての顔をもつ山です。そんな生駒山へいざ出発!
今回、編集隊が選んだルートは、近鉄石切駅を出発して山上を目指し生駒駅をゴールする、東大阪から奈良への縦走コースです。
石切駅南口を出て南へくだり鳥居をぬけ、近鉄線の高架下をくぐると、車一台分が通れる程度の小路へ。
![]() |
![]() |
この道は「辻子越え」と呼ばれ、河内から生駒宝山寺へと続く、信仰の道として利用されていました。
宝山寺といえば、「生駒の聖天さん」と親しまれていて、商売繁盛に御利益のあるお寺です。
しばらくいくと小さな祠が見えてきました。爪きり地蔵です。写真右は、弘法大師空海さんが一夜に爪で刻んだという伝説のある仏様。
辻子谷越えの道沿いには、このお堂から、四国八十八箇所霊場巡りを模倣した石仏がいくつも並んでいます。
どれも二体一組で、ひとつはお大師様、もうひとつは四国八十八ヶ所札所寺院の本尊が仲良く祀られています。
ところで、この坂、はじめはそうでもないのですが、次第に勾配がきつくなってきます。けっこう、たいへん!と早くも弱音を吐く編集隊員。そんな私たちを癒してくれたのが道端のこんな美しい花たちです。
花に見とれていると、どこからか薬草の匂いが…あたりを見回すと漢方薬製造の工場がありました。そういえば、石切神社の参道には漢方薬屋さんがいくつかあります。下の写真は辻子谷水車。かつて和漢薬種の細末加工にも利用されていたようです。
「生駒山2㎞、石切駅1㎞」の標識があり、ここから、いよいよ山道に入ります。一服しているところへ急勾配の細道をバイクで上ってくる人が…郵便屋さんです。こんな山のなかどこへ?とキョトンとしている編集隊を気にもとめず、彼は舗装道路が終わるところにバイクを置き、郵便物を手に、てくてく登り始めました。頑張ってるなあ!雨の日、雪の日はたいへんですよね。ご苦労様です。
![]() |
![]() |
![]() |
民家をはなれ山道にはいると、俄然、「山」らしくなります。折り重なるように山道を覆う緑が美しく、陽は薄くさす程度。うぐいすの囀りがすぐそばに聞こえてきます。
![]() |
![]() |
往き交う参拝者をずっと見守ってこられたのでしょうか。千手観音、愛染明王と並ぶお大師様のお顔も少しずつ違っています。
第1の目標地点、興法寺に到着。前日に降った雨のせいか、苔むしたお地蔵様もしっとりとした風情があり、なかなかいい感じです。
ここで先ほどの郵便屋さんが下って来ました。お寺に配達があったんですね。「こんにちはー」とにっこり挨拶してくれました。
![]() |
![]() |
興法寺から、30分ほどで山上(遊園地)に到着。お待ちかねお弁当タイム!
4月中旬でしたが、お日様が雲に隠れるとひんやり。ダウンジャケットを着ておにぎりを頬張りました。
ここからは石段をひたすら下りて行きます。
![]() |
![]() |
振り返るとこんな坂。ケーブルの梅屋敷駅横を通り30分ほどで宝山寺境内へと通じる道に到着。
こんなお茶目なお不動さんが祀られていました。
![]() |
![]() |
切り立った岩窟を背負ってたつ宝山寺本堂。威風堂々の風格です。
宝山寺の大鳥居をくぐって神域を出ると、ひたすら外界へと下りて行きました。
午前11時石切駅を出発し、写真を撮り、お地蔵さんに手を合わせ、花を愛で、
生駒駅に2時頃着なので、ぷち登山を満喫できる程よい行程です。
新緑が美しい季節です。どうぞお出かけください。