★ どうしてがんが予防できるの?
子宮頸がんは、40歳以下の女性に発病する全てのがんの第1位で、特に20代ではここ15年で10倍以上増加しています。子宮頚がんの病因はほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)で、性行為によって感染します。HPVは、エイズなどとは違いごくありふれたウイルスで、多くの方が繰り返し感染します。ほとんどは一時的で自然に消えますが、感染が持続すると、数年から十数年かけて浸潤がんへと進行します。
ワクチンはこのHPV感染を防ぎます。
★ ワクチンの効果は?
人に感染するHPVは約100種類あり、子宮頸がんの病因になる「発がん性HPV」は約15種類あります。特に16型と18型の2種が子宮頸がんの病因の約60%を占め、さらに20代30代の子宮頸がんでは70〜90%を占めると推測されます。
HPVワクチンは、全てのHPVの感染を防ぐものではありませんが、16型・18型の2種の発がん性HPVの感染をほぼ100%防ぐことができます。さらに遺伝子構造が似ている他の発がん性HPV感染も一部防ぎ、日本人では子宮頸がんの70%以上が予防できると推定されています。
予防効果の持続期間は推定20年以上です。
★ 予防接種の方法と注意点
10歳以上の女性が対象で、初回接種後、1ヶ月、6ヶ月の計3回接種します。
HPVに感染する前の10代前半にワクチンを接種することで、子宮頸がんをより効果的に予防できます。
また、HPVは感染後2年で約90%が自然に排除されますが、ワクチン接種によって次のHPV感染を防ぐこともできます。
当クリニックでは、性交渉のある方なら50歳くらいまでワクチン接種を推奨しています。
ただし、ワクチンは「予防」のためのもので、接種前に感染しているHPVを排除したり、発症している子宮頸がんや前がん病変を治療することはできません。
また、ワクチンによる頸がん予防率は推定70〜80%で、頸がん検診の併用が推奨されています。