数年前のことになります。
京都祇園にある『何必館』を訪ねました。
何と読むかおわかりでしょうか。
私立の小さな美術館で「かひつかん」と読みます。
「何ぞ必ずしも」と定説を疑う自由な精神をもち続けたいという
創設者で館長の梶川芳友氏の思いから名付けられたといいます。
京阪・祇園四条駅から歩いて5分、祇園四条通りに面した現代的なビルの中にあり、美術館というよりは洒落たギャラリーという印象です。
街の賑わいから、急に静謐な空間へと足を踏み入れたようでガラリと空気感がかわり、少し大げさに言えば聖域に足を踏み入れたときのような清浄な気配さえ感じました。
同館では村上華岳、山口薫の作品を中心に展示され、地下には北大路魯山人作品室が常設されています。筆者が訪れた時には、20世紀を代表するフランスの写真家ロベール・ドアノーの作品展が開かれていました。
この美術館では梶川氏自身が手がけた建築も見どころで、美術館という枠にとらわれない自由な発想のもと和洋折衷が絶妙にマッチしています。最上階にはなんと「光庭(ひかりにわ)」という名の小さな坪庭設えられていて、天窓からは自然光が差す様は開放的でどこか温かみのあるこころ和む場所でもありました。庭に続く和室には、梶川館長の旧友であった俳優の樹木希林さんが愛した村上華岳の「太子樹下禅那」が飾られていました。
![]() |
![]() |
作品の魅力を存分に引き出すための贅沢な和室 | 梶川氏を美術の世界へと導いた村上華岳の遺作 「太子樹下禅那」 |
美術館近くには八坂神社、祇園商店街、花見小路があり、京のにぎわいを楽しめます。この日の編集隊は大奮発して明治創業の老舗すき焼きの三嶋亭で贅沢な食事をいただきご満悦。最後はやっぱり食い気に傾く編集隊でした。ああ、美味しかった。
何必館・京都現代美術館
美術館外観ほか建築の画像は以下からご覧いただけます。
https://ikazamay.wordpress.com/tag/kajikawa-architecture-office/