Vol.139 2019.07.01 鉄欠乏と隠れ貧血

【 鉄欠乏の原因 】
女性の鉄欠乏の原因の大半は生理です。食物中に含まれる鉄は1日10~20mgで、そのうち約10%にあたる1~2mgが腸管から吸収され、ほぼ同量が消化管や汗などに排泄され、収支のバランスがとれています。ところが生理によって失われる鉄は約30mgで、女性に鉄欠乏が起こりやすいのはこのためです。

【 鉄欠乏の現状 】 2df1b4c059904e1211001b5d23c14f25_s
生理がある女性では、貧血と診断されていない方の半数以上が潜在性鉄欠乏の状態です。女性に多い、疲れやすい・朝がつらい・頭痛・めまい・立ちくらみ・爪が割れやすい・氷食症などが鉄欠乏の症状です。

一般に、貧血の指標ヘモグロビン(Hb)値は11g/dl以上あれば正常と判定されますが、Hb値が12g/dl以上でも上記症状のある方は、鉄欠乏の可能性があります。MCV(赤血球の容積)が 85fl 以下血清鉄(Fe)が 50μg/dl 以下血清フェリチン値が 30μg/ml 以下などが鉄欠乏の指標になります。

多くの後期高齢者では、造血機能低下による老人性貧血が見られHb値は10~11g/dl程度です。老人性貧血と鉄欠乏性貧血の違いを診断されず、鉄欠乏による体調不良を放置されている女性は少なくありません。

【 鉄欠乏の治療 】
鉄欠乏は、鉄剤を2~6ヶ月内服すると改善します。ビタミンCを同時に内服すると、鉄の吸収は2倍以上に増え、胃の不快感など鉄剤の副作用も軽減します。生理のある方は、貧血改善後も鉄剤を減量しながら継続することが大切です。

鉄剤の内服ができない方は、ヘム鉄のサプリでも効果はありますが、1日に20㎎程度の持続服用が必要です。(通常の設定は5~10㎎)

 

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