遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)とは?
HBOCは、BRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子の病的な変異が原因で、乳がんや卵巣がんを高いリスクで発症する遺伝性腫瘍です。HBOCを臨床所見から確定診断することはできませんが、ご家族に次の様な方がおられる場合はHBOCの可能性があります。
①40歳以下の若年発症乳がんの方がいる ②漿液性卵巣がんの方がいる ③時期を問わず2個以上の原発性乳がんを発症した方がいる ④男性で乳がんを発症した方がいる ⑤トリプルネガティブの乳がんを発症した方がいる ⑥家族内に3名以上乳がんを発症した方がいる。 |
家族歴で心配な場合は遺伝カウンセリングが受けられます
実際に日々診察を行っていると、家族歴からみて
HBOCのリスクが高い方がおられます。
そうした方々でも同症候群について詳しく書かれている「日本HBOCコンソーシアム」のホームページを全く見たことのない方が多いのが現状です。
遺伝子検査を受けることは、ご自身の知識と判断で決めるべきことです。ただ、その判断基準ともなる情報だけはきちんと知っておいていただきたいと思います。
理由は、世界の主要ながんセンターの同盟団体である NCCNのガイドラインでは、HBOCの方は
①若年からMRI・MMGによる乳がん検診を毎年行う ②乳がんや子宮がんに比べて非常に進行が早く死亡率が高い卵巣がん予防のために、出産終了後に卵巣卵管切除のリスク低減手術を行う |
これらが推奨されているからです。
HBOCは遺伝性の疾患で、BRCA遺伝子の変異は、親から子へ、性別に関係なく50%(1/2)の確率で受け継がれます。HBOCの発症が心配な場合は、専門の医師やカウンセラーに相談し詳しく説明を受け、将来の健康について専門家の意見とアドバイスを受けることをお勧めします。
「日本HBOCコンソーシアム」のホームページをご覧ください