Vol.102 2016.06.06 卵巣がん検診モデル

卵巣がんと卵巣がん検診
卵巣癌は進行が早いため予後不良で,5年生存はわずか40%です。
40代から増加し、50代以後に多い悪性腫瘍で、日本の死亡者数は子宮頸がんの約2倍です。
今回紹介するのは、英国で行われた卵巣がん死亡者数を減らすための検診のあり方に関する研究です。

UKCTOCS
2001年6月1日~2005年10月21日に、50~74歳の閉経後女性20万2,638人をイングランド・ウェールズ・
および北アイルランドの国民保健サービストラスト13ヵ所から募集し、参加者を以下の3群にランダムに
割り付けし、卵巣がん検診の有用性を確認しました。

MMS群(5万640人) : 血清CA125(腫瘍マーカー)と経腟超音波検査による毎年のスクリーニング
USS群(5万639人) : 毎年の経腟超音波検査
スクリーニングなし群(10万1359人)

治験結果
①  スクリーニングは、2011年12月31日に終了し、追跡期間中央値11.1年で,
1,282例(0.6%)を卵巣癌と診断
MMS群        338例(0.7%)
USS群          314例(0.6%)
検診なし群     630例(0.6%)

  これらの女性のうち、
● MMS群        148例(0.29%)
USS群          154例(0.30%)
検診なし群    347例(0.34%)  が卵巣癌で死亡。

  Royston-Parmar modelの解析では、検診群で卵巣癌死亡者数が有意に減少。

1) MMS群における死亡率は、7~14年経過時で23%減少。

2) USS群における死亡率は、7~14年経過時で21%減少。

この研究によると検診により、死亡リスクを減らす可能性が有意であることがわかります。
子宮がん検診の際には、同時に卵巣の経腟エコー検査を受けてください。

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