Vol.90 2015.06.01 子宮頸がん予防ワクチンに関する考察

「子宮頸がん予防ワクチン」経緯と報告された副作用
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)は、患者数が20代になると急増するため、ウイルスに感染する可能性の低い10代にワクチンを接種し、その発症を予防しようという試みでした。

2013年4月1日、厚生労働省は予防接種法の改正によって小学6年~高校1年の女子は原則無料とする、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)定期接種を実施しました。その2か月後2013年6月に積極的な接種勧奨を差し控えることを通知しています。理由は、定期接種化以前の13年3月末までに約328万人が接種したと推計される接種者に、全身の激しい痛みや痺れ、意識障害、記憶障害、運動障害、てんかんのような発作等の重篤な副作用報告が360件前後あったためです。

女の子イメージHPVワクチンについての考察
積極的な摂取勧告を差し控えるという厚生労働省の決定後、HPVワクチンの摂取を希望される方は全くない現状ですが、今でもワクチン接種の是非について質問を受けます。今回、私なりの考察をしてみました。HPVワクチンの本質および、導入過程の議論は割愛します。

結論から述べると私は接種には反対です。国立がん研究センターによると、2011年現在の子宮頸がん患者数(上皮内がんを含む)は47,766人で40歳未満の女性では最も発病率は高く、2013年の子宮頸がん死亡者数は2,656人でここ10年は大きな変動はありません。

日本人女性の全員が今後HPVワクチンを接種すると仮定します。2,656人の60%が助かると推定すれば年間で最大1,590人の命が助かりますが、1062人は死亡します。そして重篤な副作用の出現率が0.0001人と推定すると、毎年の重篤な副作用発症者(推奨接種対象が10代)は少なくとも50人以上と推定されます。

子宮頸がんは検診を受ければほぼ100%防ぐことができ、子宮がん検診は同時に子宮体がんや卵巣がんを発見する可能性もあります。

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