花茎をすっくとのばして咲くニラの花です。思いがけず、可愛らしい花ですね?
星形の小花がたくさん集まって咲く姿は手毬のよう。そういえば「ねぎぼうず」にも似ています。調べてみると、ユリ科、ネギ属。愛嬌者の弟と美人の姉さんという感じでしょうか。
ニラは中国より渡来し、古くから栽培されていました。古代ニラの名称は「ククミラ」、「ミラ」。
万葉集にもこんな歌が詠われています。
伎波都久(きはつく)の岡のくくみら、我れ摘めど、
籠(こ)にも満たなふ、背(せ)なと摘まさね
伎波都久(きはつく)の岡に茎韮(くくみら)を摘みに来たけれど、籠はぜんぜん一杯になりませんよ。
じゃあ、あの人と一緒に摘みなさいな。
乙女たちがこんな歌をうたいながら、ニラ摘みをする光景が目に浮かびませんか。
葉や茎はβカロチンやビタミン類が豊富。古人もこのニラの滋養強壮作用を知っていて、茹でたり、塩漬けにしたり、種子は生薬として健康にも役立てていたようです。