Vol.76 2014.04.07 脂肪酸と血栓症リスクの関係「EPAとDHA」

★  血栓症と脂肪酸

最近特に注目されている栄養素に脂肪酸があります。北極圏で生活するイヌイットは、多くの脂肪を摂取しているにのに、心筋梗塞など血栓症が顕著に少ないことは以前から知られてきました。その謎をとくキーとなったのがEPA(エイコサベンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)です。

彼らが主食とする魚やアザラシには、               a01_073
EPAやDHAと呼ばれるω-3系脂肪酸
豊富に含まれており、なかでもEPAは
抗血小板作用があり、血液をサラサラ
にしてくます。

実際血栓症の1次予防(今は発病していないが
将来の発病を予防することが1次予防)に
ω3系脂肪酸が有効であることはレベル1
(最高レベル)のエビデンスがあり
ます。

ちなみに、サプリメントではDHAをネーミングに用いている商品を多く見受けます。
DHAには血栓症予防効果はありませんが、DHAの方がEPAよりも知名度が高く、販売しやすいことが理由のようです。

★  血中脂肪酸

コレステロールや中性脂肪は、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症のリスクファクターとして健診やドックで測定され、一般の方々にもよく知られています。では、ご自分の脂肪酸を検査されたことはありますか?

脂肪酸に目を向けている医師は増えてきていますが、まだまだ一般的とはいえない現状です。保険診療で認められている検査項目に、「脂肪酸4分画」があります。文字通り脂肪酸の状態をチェックする検査です。なかでも、陸上動物に多いAA(アラキドン酸)とEPAの比率は重要で、血栓症のリスクチェックに有用です。最近の日本人では、EPA/AA比が0.5を超える方は少なく、なかには0.1以下の方も珍しくありません。EPA製剤は保険診療で認められています。血栓症の予防には、EPA/AA比は0.71.2程度が最適です。

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