Vol.76 2014.04.07 サクラソウ

さくらそう

昔々、ドイツの小さな村に貧しい母娘が暮らしていました。少女の名はリスベス。
ある日、リスベスはベッドでふせる病弱な母をなぐさめようと
野原へサクラソウを摘みにでかけました。
野原には可愛いサクラソウがいっぱい咲いています。

なんてステキなんでしょう!かあさんも喜ぶわ

リスベスが夢中で花を摘んでいると、
花影から小さな妖精があらわれてこう話しかけました。

あなたを待っていたわ、リスベス

 母をおもうやさしいリスベスの声がきこえ、少女を待っていたというのです。
そして妖精はこんな不思議なことも教えてくれました。

 「サクラソウの咲く道を辿って行くと白いお城があるの。
門の鍵穴にサクラソウを差し入れると扉はひらくわ。さあ、お行きなさい

リスベスが妖精に教えられたサクラソウの道を歩いていくと、
白いお城が見えてきました。
鍵穴にサクラソウを入れると静かに扉は開き、

そこには眩いばかりの宝物が……。

目をまるくするリスベスのポケットに、妖精たちが宝物をつめこんでくれました。

リスベスは喜んで家路をいそぎ、母にこの不思議なお話を聞かせました。
ポケットからとりだした宝物の美しい輝きを浴びると、
母の頬はみるみる明るくなり、病も治ってしまいました。

幸せな春がおとずれ、ふたりは仲良く暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。

 

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