Vol.75 2014.03.03 ピルと血栓症

★  ヤーズ(月経困難症治療薬)について
「ヤーズ配合錠」は、月経困難症の治療薬として発売された低用量ピルの1つです。2010年11月以降、現在までの3年間に、約18万人の方に処方され、ヤーズが原因と考えられる静脈性血栓症で3名の死亡例が本邦で報告されています。

★  ヤーズと他の低用量ピルとの比較
海外のデータ等によると、当初からヤーズは他の低用量ピルに比べて40%程度リスクが高い可能性は以前より指摘されています。全ての低用量ピルによる死亡例は約10万人に1人と報告され、本邦におけるヤーズの死亡例は約6万人に1人です。

 

★  静脈性血栓症の症状

血栓症が疑われる症状は次のとおりです。こうした症状を自覚された場合は、
直ちに服用を中止して医療機関にご相談ください。

・下肢の急激な痛み・むくみ(浮腫)
・突然の息切れ、胸痛
・激しい頭痛
・手足の脱力・しびれ・けいれん(麻痺)
・舌がもつれる(構語障害)
・見えにくいところがある
視野が狭くなる(急性視力障害)等

一般に、低用量ピルが原因で生じる静脈性血栓症は、使用開始から
3カ月以内、特に最初の1か月以内に生じるリスクが高いと言われています。 

★  正確な情報を得て、冷静に判断を

今回の不幸な出来事は大変残念です。ただ報道のあり方については疑問を感じました。
例えば、リスクについていえば、低用量ピル服用よりも、交通事故死の方が数倍高い死亡リスクがあることにお気づきでしょうか。
医療機関は低用量ピル開始に際しては、問診で患者さんの状態をきちんと把握したうえで、効果だけでなく、考えられる副作用(静脈性血栓症など)や注意事項を正しく情報を提供する必要があります。

患者さんは、様々なメディアをとおして伝えられる情報を整理して冷静に判断する目をもってくださいね。薬を服用する場合は、医師の指示どおりに正しく服用すること、体からのサインを見逃さず、変化があれば直ぐに相談するといった自己管理の意識をもつことも大切です。

 

 

 

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