Vol.188 2023.08.07 卵巣がん検診モデル

卵巣がんと卵巣がん検診
卵巣がんは進行が早く、5年生存率は50%、65歳以上では33%と高齢者ほど予後不良です。卵巣がんは40代から増加し、50代以後に多い悪性腫瘍で、日本の卵巣がん死亡者数は子宮頸がんの約2倍です。今回紹介するのは、英国で行われた卵巣がん死亡者数を減らすための検診のあり方に関する研究です。

UKCTOCS(UK Collaborative Trial of Ovarian Cancer Screening)
2001年6月1日~2005年10月21日に、50~74歳の閉経後女性20万2,638人をイングランド・ウェールズ・および北アイルランドの国民保健サービストラスト13ヵ所から募集し、参加者を以下の3群にランダムに割り付けし、卵巣がん検診の有用性を確認しました。

MMS群(5万640人):血清CA125(腫瘍マーカー)と経腟超音波検査による毎年のスクリーニング
USS群(5万639人):毎年の経腟超音波検査
スクリーニングなし群(10万1359人)。

治験結果
① スクリーニングは,2011年12月31日に終了し、
追跡期間中央値11.1年で1,282例(0.6%)を卵巣がんと診断
MMS群338例(0.7%)
USS群314例(0.6%)
検診なし群630例(0.6%)。

② これらの女性のうち、卵巣がんによる死亡者数
MMS群148例(0.29%)
USS群154例(0.30%)
検診なし群347例(0.34%)

③ Royston-Parmar modelの解析では、検診群で卵巣がん死亡者数が有意に減少しています
1) MMS群における死亡率は、7~14年経過時で23%減少。
2) USS群における死亡率は、7~14年経過時で21%減少。

子宮がん検診の際には、同時に経腟超音波検査を受けて、卵巣がんのスクリーニングをしましょう。

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