20.摂食障害(拒食症)

Q:どんな病気ですか。
A:食行動に関する疾患の総称を摂食障害といい、拒食症と過食症が中心となります。
10〜20歳代の女性に圧倒的に多く、思春期におこりやすい精神疾患の中で近年増加の傾向にあります。
過食症と拒食症は反動で繰り返すケースや両方が共存するケースが多く見られます。

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Q:拒食症とは
A:神経性無食欲症ともいわれ、やせることや体重の増減に異常にこだわり、極端なダイエットを繰り返します。
標準体重を大きく下回っていても「太っている」という思い込みから抜け出せません。
肥満に対する恐怖感から食制限や過剰な運動を続け、空腹感や満腹感を認知できなくなり、最低限必要な食べ物も食べられなくなることもあります。

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Q:過食症とは
A:自分の意志で食べることを止められず、一度に大量に食べてしまうことを定期的に繰り返します。
過食の後には、食べ過ぎてしまった罪悪感、自己嫌悪などから抑うつ状態が起こりやすく、体重が増えてしまうことへの恐れから、下剤を乱用したり、指をいれて嘔吐したりすることもあります。
定期的でなくても、一過性の無茶食い行動の経験のある人は、女子大生の40%にのぼるという報告があります。

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Q:身体的にはどんな症状がでますか。
A:拒食のために栄養障害がおこり、貧血、低血圧、低体温となります。女性の場合、卵巣機能が低下して生理不順そして無月経となります。
過食症では嘔吐による食道炎、腎機能障害、胃液が逆流して直接歯をいためるため歯牙欠損などが起こります。

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Q:どんな要因が考えられますか。
A:摂食障害の背景には、やせている=きれいといったスリムさに価値をおく社会的な風潮、本人の性的に成熟することへの葛藤や拒否感、精神的な未熟さがあります。
発病のきっかけはダイエットが多く、他に入学や就職などの環境の変化や学業成績への不安、離婚など、様々なストレスの関与が考えられています。

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Q:どこへ相談すればいいのでしょうか。また、受診のめやすは?
A:体重の減少が標準体重の85%以下に達していなくて、栄養不足の恐ろしさを認知できている”予備軍”の場合、だるい、肌があれるなどの自覚症状をきっかけに正常な食生活に戻れる可能性があります。
拒食症となってしまうと自分が病気であるという認識がもてないため、周囲の人が受診させる必要があります。放置すると身体が栄養を受けつけなくなり餓死に至る危険性があり、早めの治療が必要です。
基本的には心療内科や精神科に相談してみるのがいいでしょう。

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Q:日常生活でのケアは
A:極端なダイエットを防ぐにはまず、自分の適正体重を理解することです。
子どもの場合、家族が無理な食事制限をしていないか急激な体重減少がないかなど、異変を見逃さない様に気を配ることやお仕着せの価値観に惑わされない生き方を伝え、温かく成長を見守ることが大切です。

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