17.いろいろな避妊法

性の情報や描写は雑誌、テレビ、インターネットにあふれています。しかし、興味本位で間違ったものも多く、安易なセックスを通して若い世代を中心に広がる性感染症は社会問題となりつつあります。
セックスはパートナーとの愛情を深める大切なコミュニケーションで、新しい命の誕生にもつながる行為です。相手を思いやる気持ちと望まない妊娠を避けるための正しい避妊の知識をもつことが大切です。

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(1)基礎体温法 (避妊率:約75%)

基礎体温から排卵期を知り、安全期を予測して避妊の目安にする方法。
排卵日と前後3日間は妊娠しやすい時期。

長所
● 副作用がない。
● 簡単な方法で自分の生理周期を確認できる。

短所
● 毎日、正しく測定しなければならない。
● 生理不順の人には向かない。
● 生理周期はストレスや体の不調などの影響を受けやすく、コンドームなどほかの避妊方法と併用する必要がある。

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(2)殺精子剤 (避妊率:約75%)

セックスの直前に膣内に精子を殺す薬品をいれて避妊する方法。
錠剤やフィルム、ゼリーがある。

長所
● 簡単で手軽に使える。
● 副作用がほとんどない。

短所
● 効果が現れるまでに5〜10分かかる。
● 効力が持続する時間内(20分位)に射精しなければならない。
● 体位によっては流れだしてしまう。
● コンドームなどほかの避妊方法と併用する方が安全。

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(3)ペッサリー (避妊率:約80%)

子宮の入り口にゴム製のキャップを装着して、精子の進入を防ぐ方法。
ペッサリーの両面に殺精子ゼリーを塗りセックスの直前に装着して、セックスから約8時間後にはずす。
産婦人科で子宮口の大きさを測ってサイズを選んでもらい、使い方の指導を受ける。

長所
● 使用後は洗って、繰り返し使える。
● 副作用がない。

短所
● 医師にサイズを測ってもらわなければならない。
● 子宮口の大きさが変わることがあるので定期的な検診が必要。
● 性交のたびに装着しなければならない。
● 正しく装着しなければ失敗率が高い。
● 日本では手に入りにくい。

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(4)コンドーム (避妊率:約85%)

薄いゴムの袋をペニスにかぶせて精子の進入を防ぐ方法。
装着は射精の直前ではなく、必ずペニスを膣に入れる前にする。

長所
● 日本で最もポピュラーな方法。
利用法が簡単で特別な知識がいらない。
● 手軽に手に入り、価格も安い。
● 性感染症の予防ができる。

短所
● 正しく使用しないと失敗率が高い。

<失敗例>
● 装着のミス(根本まできちんとつけていない)
● 装着のタイミングが悪い(セックスの途中からつける)
● セックス後の抜き方が悪かった。

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(5)リング(IUD) (避妊率:約98%)

プラスチック製や金属製の小さな器具を子宮内に挿入して、受精卵が子宮内膜に着床するのを防ぐ方法。
装着後は年に1〜2回検診を受けて、約2年で交換する。

長所
● 使用感がない。
● 一度装着すると、あとは手間がかからない。

短所
● 装着は婦人科でしてもらう。
● 妊娠や出産の経験がない人は子宮口が小さいので装着しにくい。
● 子宮に異常(子宮筋腫など)がある場合は使用できないことがある。
● 人によって不正出血などがあったり、生理時にはずれることもある。
● 定期的な検診を受ける必要がある。
● 子宮外妊娠は防げない。
● 子宮内感染の原因になる。

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(6)経口避妊薬(ピル) (避妊率:約99%)

黄体ホルモンと卵胞ホルモンを配合した薬で排卵をおこさないようにする方法。

長所
● 女性の意志でできる確実な避妊法。
● 月経困難症の改善などの副作用がある。

短所
● 人によって副作用が出る場合がある。
● 体質や持病、年齢によって使えない人がいる。
● 毎日飲むわずらわしさがある。
● 飲み忘れると避妊効果がない。

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(7)不妊手術 (避妊率:約99%)

手術で卵子や精子の通路をふさぐ避妊方法。

長所
● 手術後の副作用がない。
● 一度手術をすれば、避妊効果が半永久的に持続する。

短所
● 手術後に再度妊娠を希望しても非常に困難。

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