中野司朗レディースクリニック
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★★『ゆんたく』★★
■Dr.Shiroです
昭和57年、奈良医大を卒業した私は産婦人科医局に入局し、同時に大学院に進みました。そしてその年の秋、京都大学ウイルス研究所に国内留学しました。
ウイルス研究所の当時の所長は、後に文化勲章を受章された日沼頼夫先生で、当時ウイルス研の大きな研究テーマは、日沼先生が発見した人類史上初の癌ウイルスATLウイルス(成人T細胞白血病ウイルス)でした。ちなみにこのウイルスはエイズの病因HIVと同族のウイルスです。私の研究テーマは、ATLウイルスの母児感染経路の解明でした。
昭和58年5月、研究道具一式を車に積み込み、大阪南港からフェリーに乗ってATLの多発地域である沖縄に渡りました。こうして沖縄での研究活動がスタート。
当時お世話になったのが、沖縄の宜野湾市にある当山産婦人科。
月間分娩数が100件を超える個人病院で、院長先生が当山雄紀先生でした。
新人の私に、帝王切開や膣式手術など、アメリカ流の先進産科臨床を教えていただき、研究にも寛大な理解と協力をいただきました。
当時の妊婦さんのATLウイルス感染者(キャリア)は7%程度で、キャリアのATL発病率は年間約1500人に1人です。
キャリアの分娩時に臍帯血を採血し、琉球大学の研究施設でリンパ球を分離培養して、感染の有無をチェック。また、キャリアの方々に状況を説明して、3か月ごとに赤ちゃんを連れてきていただき、赤ちゃんから採血、生後の感染の有無もチェック。こんな地道な作業を約1年半続けました。
感染の有無は、培養したリンパ球を特殊染色して、蛍光顕微鏡でチェックします。
当時、琉球大学の研究棟は太平洋戦争の沖縄戦の激戦区の丘の上に建った9階建て。新築直後でまだほとんど使用されておらず、夜間の使用者は大きな建物に私たったひとり。そして蛍光顕微鏡を使用するときは、部屋を真っ暗にします。ちょっと不気味でしたが、遠くに見える漁火に安らぎを覚えました。
ATLウイルスに感染したリンパ球は、培養によって表面にウイルス抗原を発現します。そしてその表面抗原が、蛍光顕微鏡で黄色がかった青色に光るのです。
初めて母児感染を発見した瞬間は、今でも鮮明に覚えています。
生後9か月の子供から頂いたリンパ球にこの光を見つけたのです。
ATLウイルスの母児感染を証明した瞬間でした。
臨床の研究者は星の数ほどいますが、世紀の発見に立ち会える興奮は、一握りの幸運な研究者だけしか味わえません。
その後、私を含め7名の医師が交代で当山産婦人科に勤務しながら研究を続け、
ATLウイルスの母児感染の主経路が母乳感染であることを証明しました。
現在、妊娠すると公費でATLウイルスの抗体検査を無料で受けることができます。
私の研究がこの始まりになったことを誇りに思います。そして、そのチャンスを頂いた日沼頼夫先生と、研究に理解と大きな協力を頂いた当山雄紀先生には、心より感謝いたします。
人生には転機になる出会いがあります。
その出会いに気づき、そして出会いを活かし、実りある時を過ごしてください。
当山雄紀先生は現在78歳で、今も現役で当山産婦人科を運営されています。
以前は那覇マラソンに参加されていましたが、今は自転車で名護まで片道50Kmのツーリングをされているそうです。
先週の『ゆんたく』でご紹介できなかった「当山雄紀先生を囲む会」の写真をアップします。
http://www.clinica.jp/wp-content/uploads/2014/12/6816033e2494517c93e60eb4366c59f1.jpg
■言葉の玉手箱
人間にとっていちばん寂しいのは、何を見ても、何を食べても、何の感動もしないこと。感動をしなくなったら、人間おしまいだと思うんですね。こんな淋しいことはないと思います。(高倉健さんの言葉)
ほんとにステキな方でした。ご冥福をお祈りします。
(by yoko@編集人)
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