# 9 アロマセラピー

【食と自然療法】
東洋医学で使用される漢方薬の処方には、多くの植物由来の生薬が含まれています。また、これらの植物由来の生薬には、私たちがハーブや食材として身近に 使用しているものも多いことをご存知ですか。例えば、葛根湯の葛根は吉野葛(よしのくず)で知られる葛のことです。生姜(しょうきょう)・乾姜(かんきょ う)は、ハーブではジンジャーと呼ばれ、私たちは「しょうが」として食しています。植物の多くには、人にとって薬として使用される成分や、健康を維持する ために有用な成分が含まれています。そして、体を冷やす働きを持っている旬の夏野菜のように、私たちは食をとおして知らないうちに自然療法を実践していた のです。ただ、最近はハウスものが出まわり、ビタミン類などの含有量の低下とともに、これらの自然療法の恩恵にも悪影響をおよぼしています。

【アロマセラピーとエッセンシャルオイル】
ところで、植物由来の成分といえば漢方薬以外にエッセンシャルオイルを思いつく方は多いことでしょう。植物の葉や花や果皮・茎などから、蒸留や圧搾など で抽出した精油がエッセンシャルオイルです。漢方薬が東洋医学の幹とすれば、西洋医学の原点はエッセンシャルオイルといえるかもしれません。医学の祖と呼 ばれるヒポクラテス以後、「植物誌」をあらわした古代ギリシャのテオフラストスやローマ時代の「薬物誌」の著者ディオスコリデスなど、植物と医学の歴史は 古く、10世紀には精油の蒸留精製法は確立し、アロマセラピーという言葉は1928年にフランス人化学者ルネ・モーリス・ガトフォセの著書から使われてい ます。漢方薬とエッセンシャルオイルの大きな違いは、漢方薬では煎じ薬として水溶性成分が体に入り、エッセンシャルオイルでは文字どおり脂溶性成分が主体 です。

アロマセラピーでは、精油は吸入や経皮吸収、内服(日本では原則として行っていない)によって体内に入って薬理効果を発現します。また、臭覚をとおして 大脳辺縁系に直接働きかける精神・生理作用がより大きな効果を期待されています。例えば、ラベンダーやカモミールは鎮静作用を持つ精油として知られていま すが、これらの香りが嫌いな方には逆効果となります。臭覚から、その方の過去の記憶や好みをとおして、精神・心・肉体の全てに働きかけるアロマセラピー は、ホリスティックアロマセラピーと呼ばれています。

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