Vol.142 2019.10.07 子宮脱と膀胱脱

子宮脱・膀胱脱とは
骨盤の最も低い位置にある子宮は、じん帯や筋肉により支えられています。子宮の支持組織が弱まると、通常の位置から下方へさがってきます。困った女性
この状態を「子宮下垂」といいます。さらに進行すれば、子宮の一部が膣から体外へ脱出してしまいます。この状態を「子宮脱」といいます。

原因、長年にわたって重い物を持つ仕事を続けたり、頑固な便秘症で腹圧がかかったりしたためで、子宮を取り巻くじん帯や筋肉が衰える50才以上の人に多く発症します。

自覚症状「腟の違和感」が多く、「腟の入り口に何かが触れる」、「立ち仕事の後や、夕方になると尿が出にくくなる」と訴える方もいます。症状が進むと、外に出た子宮の入り口がすれておりものや出血を認めます。また、子宮の前方は膀胱、後方は直腸とつながっているため、子宮が下がってくると自然に膀胱や直腸も一緒に下がってきます。進行すると排尿障害など、日常生活にも影響がでます。

子宮脱・膀胱脱の治療
初期段階では、日常生活で腹圧をかけないようにしたり、骨盤底の子宮を支持する筋肉をきたえる体操を指導して経過をみます。
腟の違和感だけの方は急いで治療する必要はありませんが、この疾患は分娩直後に起こるものを除いて自然に改善するケースは稀ですから、出血や排尿障害などの症状がある方は手術療法をお勧めします。
しばらくの間は、腟内にペッサリーリングを挿入して子宮脱の症状を改善できますが、長期になるとリングに当たった腟壁に炎症をおこしておりものが増えたり、潰瘍を形成することもあります。
手術は、骨盤底を支持している組織をメッシュシートで支える手術や、尿失禁を伴う膀胱下垂にはメッシュテープで持ちあげるなどの方法があります。

症状はあるけど…何年も我慢をしていませんか
出産経験や強度の便秘症のある中高年女性で発症しやすい病気です。しかし、受診された方にお聞きすると「恥ずかしくて受診できず、何年も我慢をしていた」という方がおられます。予防体操など早めの対策も指導させていただきますので、気軽にご相談ください。

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