Vol.129 2018.09.03 外来症例から考える乳がん検診のあり方

マンモグラフィ検診から半年後に乳がんが発覚
先日外来で遭遇した出来事です。

40代女性が、乳腺の精査目的で来院されました。今年の1月に奈良市の乳がん検診(マンモグラフィ)を受診され陰性でした。春頃に自己検診で乳房にしこりのようなものがあるので精査目的で来院されました。乳腺エコー検査で約1cmの陰影を認め、乳腺専門医に紹介した結果、組織検査で乳がんがみつかりました。マンモグラフィ検診から約半年後の出来事です。

マンモグラフィ検診と乳腺エコー検査の特徴
乳がんの発見には、所見によってマンモグラフィ検査が有用なケースと、乳腺エコー検査が有用なケースがあります。例えば、乳がんが乳管に沿ってひろがり、乳管内に石灰化を起こすようなケースではマンモグラフィが有用ですが、乳がんが腫瘤を形成するケースでは乳腺エコーが有用です。

千葉県の乳がん検診ガイドライン                                                                                              merit6_img05
ここで千葉県が実施している乳がん検診のガイドラインを紹介します。
「千葉県乳がん検診ガイドライン(平成16年7月)」

30歳代は年1回の超音波検査の実施
40歳代は超音波検査とマンモグラフィの交互実施
50歳以上は年1回のマンモグラフィの実施を推奨しています。

ちなみに国が推奨している乳がん検診は、40歳以上の方に2年に1回の問診・マンモグラフィの実施です。

今後の検診のあり方についての考察
現在、日本人女性のがん罹患数第1位は乳がんで、1昨年に年間罹患数が9万人を超え、生涯では約12人に1人が乳がんに罹患すると言われています。また、乳がんは子宮頸がんと同様に、比較的若い方の罹患が多く、子どもがまだ小さいなど罹患による社会的な影響が懸念されます。これからの乳がん検診の在り方、再考する必要がありそうです。

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