Vol.128 2018.08.06 思春期の無月経と骨密度

GDPと体脂肪率は比例する?
世界各国のGDP(国内総生産)と体脂肪率には相関があります。つまり、GDPが高くなると食生活が豊かになり体脂肪率も高くなる傾向があります。その中で、日本だけはGDPの高さに比べて体脂肪率が低い傾向がみられます。中高年以上の方の肥満は生活習慣病の原因となりますから、この傾向が決して悪いわけではありません。問題は、思春期のやせ過ぎです。

思春期の無月経は骨粗しょう症のリスクを高める思春期女の子

思春期に過度のダイエットや激しいスポーツ、拒食症などが原因でやせ過ぎた状態が続くと無月経になります。

無月経は、やせ過ぎだけが原因ではありませんが、原因がなんであれ無月経は女性ホルモン(エストロゲン)がでていない状態で、閉経状態と同様です。

閉経後女性における健康上の大きな問題点に骨粗鬆症があります。
骨密度の観点からみると、思春期女性の無月経はより大きな問題です。

通常、人生の最大骨密度に達するのは20歳までです。
つまり思春期に無月経の状態が長く続けば、最大骨密度が低くなり、
将来骨粗鬆症を発症し、骨折による要介護のリスクが高まります。

思春期女性の無月経の原因
産婦人科医師として、臨床の場で私が感じる思春期の無月経の原因をいくつか挙げてみます。

①食生活の乱れ。
お菓子類でカロリー摂取をして、朝食や昼食がルーズになっていること。また、炭水化物中心の食生活でタンパク質の摂取が少ないこと。特に朝食がパンだけとかシリアルだけ、あるいは食べない
②ストレスで、拒食症の子が増えている
③価値観として、痩せることが美化されている
④スポーツをしている子が、適正な食を摂っていない。
例えば長距離を走る選手が、体重を落として過度に練習すれば疲労骨折につながる

 

思春期の無月経を安易に放置せず、早めに婦人科を受診してください。

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