2.子宮内膜症

Q:子宮内膜症とはどんな病気ですか。
A:まず、子宮内膜とは子宮の内腔をおおっている粘膜組織のことです。妊娠準備のために毎月、再生・増殖を繰り返し、妊娠しなければ生理として排出されます。これが生理の仕組みです。子宮内膜症は、この内膜組織が何らかの原因で子宮の内腔以外に発生して増殖する病気です。

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Q:どんなところに発生するのですか。
A:子宮の筋層内にできる子宮内膜症は子宮腺筋症と呼ばれます。卵巣内に発生した内膜症は、生理の出血が卵巣内に溜まって、チョコレートのう腫と呼ばれます。その他には、腹膜や子宮の外表、卵管、ダグラス窩、直腸、膀胱などに発生します。

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Q:何が原因なのでしょう。
A:初潮の若年化や晩婚化、出産回数の減少といった女性のライフスタイルの変化や食生活の変化。ストレスの増加、最近問題になっている環境ホルモンの影響なども関係していると考えられますが、はっきりとした原因はわかっていません。
10代や20代の若年者の発生も多くみられます。

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Q:どんな症状がでますか。
A:最大の自覚症状は生理痛。下腹部の痛みはもちろん、腰や尾てい骨あたりまで痛くなる場合があります。進行すると生理時以外でも下腹部痛や腰痛があったり、セックスや排便のときに痛みを感じることもあります。
これは子宮以外で増殖した内膜組織が生理時に出血を繰り返し、排出されない血液が血まめ状に溜まったり、周辺組織と癒着を起こすからです。
また、生理の量が増えて、貧血、倦怠感、めまい、頭痛、うつなどの症状がでるケースもあります。

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Q:不妊症と関係がありますか。
A:不妊症の20〜40%は子宮内膜症によるものと言われています。子宮内膜症が進行すると、卵管の癒着を起こしたり排卵のための卵胞の成熟を妨げ、不妊の原因となります。

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Q:診断はどのようにされるのでしょうか。
A:問診と内診、直腸診、経膣超音波検査でほとんど診断がつきます。さらに、腫瘍マーカー(CA125)や鉄欠乏チェックの血液検査やMRI検査があります。
治療方針を決定するために、腹腔内を腹腔鏡で直接観察する検査もあります。

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Q:どんな治療法がありますか。
A:病気の進み具合、治療の目的、痛みをとりたいのか妊娠を希望しているのか、年齢などを考えて治療をおこないます。大きく分けて、薬物療法と手術療法、併用療法があります。子宮内膜症は生理がなければ出血も起こらず、痛みも軽くなり、進行を防げます。

薬物療法は、症状の軽減や病状の進行を遅らせるために、一時的に閉経状態をつくる薬や低容量ピルが使用されます。手術は、子宮や卵巣を残し癒着をはがした り病巣をレーザーで焼いたりする腹腔鏡手術と、症状が進み出産を望まない場合は子宮や卵巣を摘出する開腹手術があります。

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Q:薬の副作用はありませんか。
A:使用する薬により、のぼせやだるさなど更年期の症状がでることがあります。でも、これは一時的なもので投与をやめればなくなります。症状がでたときはすぐに相談してください。

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