α-リポ酸

総論
α-リポ酸(LA)はチオクト酸とも呼ばれ、硫黄を含むビタミン様物質です。通常は、エネルギー生成、アミノ酸代謝、核酸合成などの様々な過程で酵素の働きを助ける補酵素として活躍しています。
また、ビタミンC、ビタミンE、CoQ10、グルタチオンなどの抗酸化物質と抗酸化ネットワークを形成し、強力な抗酸化作用を持っています。LAは水溶性・脂溶性の性質を持つため、体内の様々な場所で抗酸化作用を発揮します。

LAは生命維持に不可欠で体内で生合成されますが、合成量は極めて微量です。体内の分布濃度は微量ですが、通常欠乏することはありません。ただ、LAの体 内産生量は加齢とともに低下します。Lodgeらの報告によると(1997)、食物中のLA含有量を調査した結果、牛腎臓中に32(μg/g)、牛心臓中 に19(μg/g)、ほうれん草中に5(μg/g)ブロッコリー中に4(μg/g)、トマト中に3(μg/g)が含まれます(全て乾燥重量)。いずれも含 有量は微量で、例えば1mgのLAをほうれん草から摂取するためには6kg食する必要があります。

薬理作用
LAは、心臓や腎臓、肝臓などに多く局在し、細胞内の小器官ミトコンドリアにおいて、ATP産生、つまりエネルギー産生に重要な役割を演じて代謝を促進しています。
この役割から、ドイツでは糖尿病関連の様々な合併症の治療にLAが用いられてきました。ヨーロッパでは、Ⅱ型糖尿病からくる末梢神経障害にLAが処方され ています。さらにアメリカ糖尿病協会では、心臓病、失明、神経障害、腎臓病などの合併症の予防に、ビタミンEとLAの摂取を推奨しています。

また、酸化ストレスに起因する白内障の発生・血管障害・神経障害の防止にも有用です。
酸化ストレスは、加齢による様々な機能低下も助長します。LAを摂取すると、肌の新陳代謝が促進され、シミの原因となるメラニン色素の生成を抑制し、皮膚の細胞を活性化して皮膚老化を予防します。

LAは脳血液関門を通過する唯一の抗酸化物質で、アルツハイマーや脳卒中による脳血管障害から脳を守るために有効と考えられます。Hagenら(2002)によると、1日600mg、約1年のLA投与でアルツハイマーの進行抑制や症状改善を報告しています。

その他、LAは銅・カドミウムなどの金属イオンと結合し、金属キレーション作用による金属中毒治療、運動との組み合わせにより減量効果などの報告もあります。

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