脂質異常症の検査

脂質異常症は自覚症状がないまま進行し( silent disease )、心筋梗塞や脳梗塞などの致命的ダメージや寝たきりリスクの原因になります。

脂質異常のスクリーニング検査として血液中の脂質測定が日常的に行われ、治療はこれらの数値の正常化が目安になります。
脂質異常症には、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセライド血症が知られていますが、脂肪酸の質も大切な要素です。

ただ、血液中の脂質値と将来の血栓症などの発症リスクの大きさは必ずしも一致しません。
頸動脈エコー(下図参照)や頭頸部MRAなど、動脈硬化や血栓症の実態をチェックすることも、スクリーニング検査として大切です。

 

もう一つ忘れてならないのは、肥満です。肥満は血栓症のリスクとして大きな要素です。
脂質異常という言葉から、どうしても脂肪の取りすぎをイメージしますが、日本人の肥満の大きな問題点は炭水化物(糖質)の取りすぎです。
脂質異常症のスクリーニングとして、体重(BMI・体脂肪率など)を忘れてはいけません。

 

肥満とメタボリック症候群

内蔵型肥満がおこると、脂肪細胞からある種の化学物質(サイトカイン)の分泌量が増えます。その結果、血糖を下げるインスリンがききにくい状態(インスリン抵抗性)になって血糖値のコントロールを難しくします。やがてインスリンの過剰分泌を起こし、高インスリン血症、高脂血症、高血圧、脂質代謝異常などを重複して発症します。この病態を 『メタボリック症候群』 と呼び、動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞などのリスクにつながります。つまり、肥満が原因で血栓症のリスクが増加する病態が 『メタボリック症候群』 です。
動脈硬化の予防には、コレステロールだけでなく、摂取カロリーのコントロールが大切です。

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