# 3 未来への遺産

【 世界の生殖異変 】
最近、精子数の減少が話題になっています。普通男性の精液1ml中には5000万個以上の精子が存在します。2000万個以下では乏精子症と呼び、不妊 症の原因となります。ところが、最近の精液検査では、5000万個に満たない男性の方がむしろ多いくらいです。さらに精子の運動能力や受精能力の低下も認 められ、若い男性ほどこの傾向は顕著です。
精子数の減少は全世界的傾向であり、ここ10年間の変化は約300万年の人類の歴史において激変といえます。この現象がこのまま進行すれば、人類の存亡さえ危うくしかねません。
このような現象は人類だけでなく、自然界の様々な生物において、世界中のいたる所で形を変えて観察されています。例えば、フロリダに生息するハクトウワ シは1950年代半ばにはその80%が生殖能力を無くし、1960年代にミシガン湖沿岸で行われたミンクの養殖では大半のメスが不妊症となり、1980年 代フロリダのアポプカ湖では60%以上のオスのアリゲーターに性器異常が認められました。現在日本においても、雌性化した魚が一般河川で数多く見つかって います。

【 環境ホルモン 】
では、このような現象を引き起こしている犯人は一体誰なのでしょう。それは”環境ホルモン”と呼ばれています。ホルモンとは本来体内で作られ、生物が生 きていくために不可欠な種々の生体反応をごく微量で調節する大切な物質です。ところが、私たちの生活を豊かで快適なものにした文明の進化と共に、いまや私 たちとは切り離すことが出来ない日常のなかに”環境ホルモン”は存在しているのです。すなわち、プラスチック製品や家庭用洗剤・食品パッケージ素材・飲食 缶・魚や肉類さらに水道水さえ否定できません。そして”環境ホルモン”は脂肪親和性があり私たちの体内に蓄積され、唯一の排出経路が母乳なのです。

【 あなたは子どもたちに何を残しますか ? 】
実際のところ、”環境ホルモン”が地球上の生物(人類を含めて)にどの程度影響を及ぼすのか未知数です。今確かなことは、”環境ホルモン”の影響を受け ている生物がすでに存在すること、そしてもしも人類に痛烈な一撃を与えるとすれば私たちの子どもたちの世代であり、それから対処策を考えては遅すぎるとい うことです。

“環境ホルモン”は人類への警告のほんの一部であり、オゾン層の破壊やCO2濃度の上昇、それに伴う地球温暖化、HIVやダイオキシンなど環境問題は山積みです。私たちは、そろそろ本気で環境問題に取り組む時を迎えているのではありませんか。

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