その14 クリニックの診療目的

6月、紫陽花の季節。紫陽花は育つ環境や時間の流れで色を変える不思議な花である。この季節、浄瑠璃寺から紫陽花の咲く岩船寺へと向う街道が素晴らし い。中野司朗レディースクリニックも開院3ヶ月が経ち、日常業務もさまになってきた。3ヶ月も経つと初心を忘れがちな時期であるが、開院当初の想いを忘れ ることなく、紫陽花のように素敵に色を少しずつ変えていきたいものである。

今回は、中野司朗レディースクリニックで何を行っていきたいのか? 独り言を聞いていただこう。全人的医療のお話は以前に述べたとおりだが、それは方法論であって目的ではない。今回はクリニックの診療目的についてお話したい。
大きなテーマとしての診療目的を語るために、日本の現状について考えてみる。1つは少子高齢化が加速しつつある日本の現状、もう1つは日本人の婦人科疾患と検診の現状である。
少子高齢化の日本社会で、平均寿命の長い女性が一人暮らしになったり、子どもがひとりで要介護の親の面倒をみたりする機会が増えている。本人や家族にとって大きな負担がかかる要介護状態の主要な原因、脳血管障害や骨粗しょう症の検診。これがまず第一のテーマである。現在の検査法や検査機器の問題点と今後のあり方を提案したのが、血管年齢ドックでありDEXA法による骨密度測定である。検査法の詳細はここでは割愛するが、老後の要介護状態をいかに回避し ていくか ? ということが目的である。
次に婦人科疾患と検診の現状にめを向けると、生活様式や食生活の変化にともなう、乳がん/子宮体がん/卵巣がんの患者数や死亡者数の顕著な増加・日本における婦人科がんの検診受診率が、諸外国に比べて極めて低い現状が浮かびあがる。それぞれの検診について、なぜその検診を受ける必要があるのか、何歳から受けたらよいのか、統計データを参考に医学的根拠をわかりやすく解説して女性検診の正しい知識を持っていただき、そして行動に結びつくことで、大切な命と 健康な生活を守ることが次の大きな目的である。
要するに予防医学の重要性を啓蒙し実践していくことが、中野司朗レディースクリニックの大きなテーマと理解していただきたい。年間の医療費は32兆を超 え、このままでは2025年には50兆、2050年には75兆と試算されている医療費を考えても、個人レベルだけでなく、国家レベルでも予防医学は重要であることに疑問の余地はない。

今回は何だか難い内容の独り言になってしまった。長らくご愛読いただいた「診察室の独り言」、今回で一旦お休みをいただき、次回より新しい企画をご覧頂 きたい。どんな企画かはまだ秘密である。いつかまた、この紙面でみなさまに独り言を聞いていただける機会が訪れるかもしれない。これから、中野司朗レ ディースクリニックでお会いする機会があれば気軽に声をかけていただきたい。最後にみなさんにひとつだけ言っておきたい。実は私はシャイな人間である。

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